2002年6月18日 【岩手日報】 掲載

銀粘土で作る
シルバーアクセサリー
コンテストで
~審査員奨励賞受賞~
千葉 香さん
金属表面を紫とオレンジ色に変える独創的な技法で制作した銀細工の首飾りが、4席に当たる奨励賞に輝いた。「何度も失敗を重ねてやっと完成した」だけに、喜びもひとしおだ。
家庭と作家としての夢の両立のため、昼間は火事と子育てをこなし、午後10時から午前3時まで自宅アトリエにこもる。「好きだから」という一心で、睡眠時間も削って制作に打ち込む。
「華やかなバブル時代の東京の女子大生だった」と振り返る。人生の設計図の中心に、幸せな家庭を据えていたため、20代前半で結婚、盛岡市に移り住んだ。
「同年代は仕事に打ち込み、経済力もある美しく洗練された人が多い。家庭の中で、このままでは自分が保てなくなる、という思いが募った」
そんな時、南部鉄器を制作する市内の鈴木久工房で開かれた、人間国宝による彫金展に出会った。「銀細工の美しさと強さに心を奪われた。これだと思った。自分のすべてのちからを銀にぶつけた」
各地の職人に教えを請い、1つ1つ技術をものにした。日本女性の美をテーマにした作品をひたむきに作り続けて11年。市民向け口座の講師にもなり、作品を置いてくれる店も増えた。
今回の受賞は「夫と2人の娘が支えてくれた」と感謝。「いつか盛岡発のジュエリー美術館を創りたい」と夢を描く。