2004年5月19日【盛岡タイムス】掲載

     『アートクレイ』彫金技法の基礎
       千葉香さんが出版
             ~発見した接合技術を紹介~
盛岡市中ノ橋通1丁目の千葉香さんが、このほど美術出版社から『アートクレイ+彫金技法の〔基礎〕』を出版した。59ページ、1800円(税込み)。13日から全国で発売を開始し、県内では20日頃から店頭に並ぶ。
難しいといわれてきたアートクレイシルバー(銀粘土)と彫金の接合技術。千葉さんが10年かけて研究開発した同技術を、分かりやすくまとめている。
粘土状で焼くと、純銀になるという銀粘土。彫金では難しかったような、細かい線を作ったり、竹串やピンセットで直接模様を描けるところかが特徴。一方で、地金と接合できず、強度が低いため、趣味的な扱いの枠を超えられなかった。
金属同士を接合させるには、熱で溶かした合金のロウを挟むロウ付けを行う。銀粘土の場合はスポンジ状の構造のため、火を当てすぎるとロウが染み込んでしいまい、接合できないと思われていた。
千葉さんは、地金同士と同じように、銀粘土の焼成パーツと、地金の接合面をぴったり合うように調整。焼成パーツ側の接合面を鏡面になるように磨くことで、ロウの染み込みを抑えることに成功。
銀粘土で作った部分に、地金の土台を接合させることで強度を増し、一般のジュエリーとしての使用に耐える技術を確立した。
彫金職人の間で、銀粘土がおもちゃとしてみられているのが悔しかった。『新しくても素晴らしいものは認め、取り入れていくべき』と、諦めずに研究を続けてきた。
新技術を開発した職人は、特許を取って自分だけのものにすることが多いという。本をだしても技術をすべて明らかにせず、自分だけしかしらない部分を残すことがほとんど。
『技術は次世代に受け継ぐべき』という千葉さん。特許で囲ってしまわずに、同書には自分のもつ技術を余すことなく掲載。読んだ人が自分の技術を超えて、さらに飛躍してほしいと願っている。
同書はジュエリー専門学校や大学の彫金科などでの使用が決まり、中級と上級編の出版も予定されている。
問合せは『創作ジュエリーアトリエ・シルバーアート・カオリ』TEL019-652-5725 まで。

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